森田季節・著、角川文庫。
8月16日(月)読了。

弥刀は自身が女性的であることにコンプレックスを持ち、上手く人付き合いが出来ず、友達と呼べる存在が居なかった。
そんな彼が、高校に入って千里《ちさと》と出会い『ともだち同盟』を結んだことで初めて友達と呼べる存在を得ることが出来た。
元々千里と『ともだち同盟』を結んでおり、弥刀と同じ部活に所属する朝日《あさひ》も交えた三人の関係を、弥刀は大切にする。
だが、そんな三人の関係がある日突然朝日が弥刀に告白したことで、大きく揺らぎ始めて……

ダークでありながら、純粋な物語、ですかね。千里、弥刀、朝日。男一人に女二人、という状況。単純な三角関係には堕ちず、その関係に自称『魔女』である千里の呪いが染み渡るとどうなるか? という御華詩。

これは、人を選びますが可成りいいですねぇ。ダークだけど、悪くない読後感。正直、読みにくい部分もあるのですが、その全てをひっくり返すように鮮やかな解決は、それまでモヤモヤしたものを綺麗に洗い流してくれました。『ベネズエラ・ビター・マイ・スイート』で感じたモノを更に突き詰めたような、恐らくは森田季節らしい作品、ということなのでしょう。今後は、一般文芸の方もチェックしてみようと思います。

てなところで次は『最強彼女黒髪めがね』です。

ともだち同盟

森田 季節
出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日: 2010-06-26