さがら総・著、カントク・イラスト、 MF 文庫 J 。
1月3日(月)読了。
第六回MF文庫Jライトノベル新人賞最優秀賞受賞作。

横寺《よこでら》陽人《ようと》は変態である。
だが、その性癖を上手く建前で誤魔化している内に、何故か周囲の覚えが目出たくなってしまっていた。
過大評価で陸上部の部長に任命されたとき、彼は思う。
『建前』なんてもういらない。
そこですがったのが、近隣で噂の『笑わない猫像』。
なんでも、大切なモノをお供えして祈ると願いを叶えてくれるらしい。
自らの宝を持って祈った結果、確かに建前は失われたのだが……

いやぁ、これはよく出来た御華詩ですなぁ。『変態』とタイトルに冠している通り、最近よくある妄想垂れ流し的な描写を使いつつも、その芯には一本しっかりと物語が通っていて、ただの陳腐な妄想には終わっていないというか。変態だからこそ説得力がある場面もチラホラ。道具立てとして上手いこと使っている印象ですな。
まぁ、『変態』と冠してますが、この物語の根底のテーマは『本音』と『建前』です。それを描く上での登場人物も配置がよくて安心して読めますな。ちょっとフラグが立つのが早すぎる気もしますが、それはまぁ、ラブコメのお約束ですな(;^^) 近々二巻も出るようなので、今度は部長の活躍を楽しみにしたいですねぇ。

てなところで次は『名門校の女子生徒会長がアブドゥル=アルハザードのネクロノミコンを読んだら』です。

変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J)

さがら 総
出版社:メディアファクトリー
発売日: 2010-10-21