森田陽一・著、 saitom ・イラスト、GA文庫。
12月20日(水)読了。
第三回GA文庫大賞奨励賞受賞作。

菱川迷悟は、幼なじみの双子とともに暮らしていた。
それは、1年前のとある事件が切っ掛けだったたが、そんなことは感じさせず、日常を過ごす。
そんな彼の通う学校で、その目の前に男子生徒が屋上から落下して死亡する事件が起きる。
自殺だろうと考えていて、実際警察もそれを自殺として片付ける。
だが、別件から他殺の線が浮かび上がる。
結局、迷悟は事件に首を突っ込むことになるのだが……

殺伐としたタイトルと、奇妙な世界観。非日常を経験して日常を過ごしながらもそれはどこか歪であり、その歪さは、別の歪さに振れて浮き出されて。なんとも微妙な雰囲気でありますな。

全体としての教訓は、『言葉にしなきゃ伝わらない』ってことのような気もしますが、どうにも極端に走りすぎていて登場人物が装置化されてしまっているように感じます。まぁ、一つ一つの事象については有り得ないとは言い切れませんが、幾つも重なるとちょっと強引過ぎますな。ミステリ的な雰囲気を出してますが、実際はアンフェアどころか破綻しているというかデウス・エクス・マキナ的な要素で全て誤魔化しているように思えるので、そこが却って不自然さを強調してしまっているように思います。そういう要素抜きに、単純に登場人物たちの心の動きだけを追いかけて行くか、逆にミステリに徹するかすれば、もうちょっとすっきりした読後感だったように思います。

ただまぁ、確かにライトノベルとしては挑戦的な内容であります。その辺りがやはり最終から次へ抜けた要因なのかもしれません。主人公達の抱える歪みは面白い要素ではあるので、今後、それがどういう方向に向かっていくのか? が気になるところ。そんな風に、7/13は思うのでありまする。

てなところで次は『HAPPY DEATH DAY 2~マーダラーズカーニバル~』です。

双子と幼なじみの四人殺し (GA文庫)

森田 陽一
出版社:SBクリエイティブ
発売日: 2011-12-14