伊藤計劃×円城塔・著、河出文庫。
11月9日(月)読了。

ジョン・H・ワトソンは、優秀な医学生としてジョン・セワード教授に気に入られていた。
セワードの師、ヴァン・ヘルシングの訪れた屍者の授業で存在感を示した彼は、放課後に呼び出される。
それは、世界を渡り歩く屍者を巡る旅へ彼を誘って……

スクリプトにより制御される屍者が労働者として定着した19世紀終盤の物語。
映画は相当アレンジしていたのですねぇ。原作において屍者の真実を巡って辿り着いた先はなるほどなぁ、と思わせるものでありました。屍者を動かすのは『ネクロウェア』と呼ばれるプログラムであり、それは言語で綴られていて、つまりはそういうこと。だから、ワトソンであり、ハダリーであり、なのですな。語り部と、未来のイブ。
そして、映画で狡いと思ったあの名前はやはり原作でも出ていたのですねぇ。でも、こっちではああいうことになっていて。つか、Mが映画ではアレンジされているのか同一視されてるのか……こっちのMは某窓OSのメーカーと紛らわしい名前の人ですな。映画のMは秘書にマニーペーニーいたからあのMですが。でもまぁ、そういう虚実入り交じった登場人物がいること自体がこの物語の本質に触れるものというのが、読後にはよく理解できました。こういう感覚、心地良い。

てなところで次は『落第騎士の英雄譚《キャバルリィ》』が絶賛アニメ放映中のりくさんの『超人高校生は異世界でも余裕で生き抜くようです!』です。

屍者の帝国 (河出文庫)

[伊藤 計劃 円城 塔]
出版社:河出書房新社
発売日: 2014-11-06