アンディ・ウィアー・著、ハヤカワ文庫。
2月22日(月)読了。

三度目の有人火星探査『アレス3』ミッションは、開始から六日目、不意の大嵐にミッション中断を余儀なくされた。
撤退の途中、事故に遭い、マーク・ワトニーの生命反応が確認できなくなってしまう。
やむなく、ワトニーを残して火星を後にするクルー達。
だが、幾つもの幸運に恵まれ、ワトニーは生きていた。
いや、それは幸運だろうか?
ともあれ、こうしてワトニーの孤独な火星でのサバイバル生活が、幕を開けた……

現在公開中の映画『オデッセイ』の原作小説。
うん、映画は大分映像としての魅せ方に特化してアレンジしてましたが、こちらは言うなれば『実況ブログ風』の趣ですな。

問題が起きた!
なら、こうやったらいけるんじゃないか?
やってみよう……できた!

みたいなノリの軽い語り口がいいですねぇ。マークのキャラがとにかくいい。絶望的どころじゃない厳しすぎる状況にもかかわらず、常にユーモアを忘れず知識と技術を駆使して生き延びていく姿は見ていて本当楽しい。
また、次々発生する問題に対する姿勢は見習うべきところが多いですな。複数の問題があっても優先度の高い問題から一つ一つ着実にクリアしていく。結局、問題に対するときはそれが一番効率的で早いんですよねぇ。ついつい別の問題に気付いたら脱線しまくった挙げ句に何も問題が解決しないとかは、日本の会議の悪癖でもありますしね。
色々と示唆にも富みつつ、でも、一つ一つの問題はきっちり科学的な考証に基づいたSFになっていて、うん、いい作品でありました。

てなところで、次は『ゴブリンスレイヤー』です。

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

アンディ・ウィアー
出版社:早川書房
発売日: 2015-12-08

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

出版社:早川書房
発売日: 2015-12-08